普段の生活で、関節が硬い事をあまり気にする事はありませんね。しかし、加齢と共に関節の硬さが引き金となって健康を損なう事は大いにあります。特に下半身を支えている股関節が硬いという事は、骨盤の歪みの原因となり、場合によっては、歩行能力にも影響をきたすこともあるのです。そこで、股関節が硬い事が原因で、現れる症状及び対策について紹介します。
Contents
股関節が硬い事で起こる体への影響
普段の生活の中で、関節が硬いからと言って目に見える症状が直ぐに出る訳ではないので、あまり気にする事がないでしょう。しかし、股関節は、体の中で最も大きい関節。蔑ろにすると、他の体の部位、筋肉にも影響を及ぼします。
股関節は、ボール状になった骨の先端が骨盤の一部にはまっているために、本来は自由に動かせます。しかし、座りっぱなしで股関節を前側に折り曲げ続けると骨盤前側にある腸腰筋だけでなく、後ろ側の大殿筋や中殿筋も硬くなります。その結果、骨盤は後傾します。骨盤が後傾すると、猫背になり、肩凝りや腰痛を引き起こします。
また、女性の場合は、骨盤の中にある仙骨が女性ホルモンと深く関わりがあるので、生理痛、生理不順、不妊、便秘などの問題も生じる事もあるのですね。
大抵、股関節の硬さには左右の違いがあります。どちらも開きやすいという状態がベストですが、大抵は、左右の違いがあり、骨盤が歪んでいる状態と言えます。その場合、肩の高さが左右で異なる、ネックレスがいつも同じ方向にズレる、靴の片方だけがいつも磨り減る、といった状態になりやすいのです。
股関節は下半身を支えている大きな関節ですので、股関節が硬い事で、血行が悪くなり、老廃物がうまく排出されません。その結果、脚の浮腫みや冷えが生じやすくなります。代謝も悪くなり、効率の悪い体となって、太りやすく、痩せにくい体になっていきます。体全体に歪みが生じる事で、脂肪や筋肉の付き方にも影響が出てくるのですね。
では、以下に股関節が硬い事で起こるデメリットについてまとめてみましょう。
- 太りやすい
- 脚が浮腫みやすい
- 下半身の血流が悪くなる
- 体全体に歪みが生じやすい
- 疲れやすい
- 猫背になりやすい
- 怪我をしやすい
- 肩凝り、腰痛、膝痛を起こしやすい
- 間違った歩き方の癖が付きやすい
一方、股関節が柔らかくなる事で、起こるメリットについては、
- 血行が良くなる
- リンパの流れが良くなる
- 冷えが軽減する
- 代謝が向上する
- 姿勢が良くなり、美姿勢になる
- 浮腫みが改善し、美脚になる
- ヒップアップの効果がある
- 腰痛・膝痛の予防改善
が挙げられます。股関節を柔らかくする事が、如何に体に大きな影響を与えるかお分かりになったと思います。
股関節と骨盤の関連性
股関節とは、何か?
改めてお浚いをしましょう。股関節とは、大腿骨(太ももの骨)と腸骨(骨盤)の関節の事を言います。股関節は、他の関節に比べて、可動域が大きく、関節を安定させるのに周りの筋肉や組織を多く活用しているのですね。故に股関節周りの筋肉が硬くなりやすいのです。
体の多くの筋肉、背中や腰、足を動かす際にも股関節は、一番大きく動かす部位であるので、他の体の筋肉や部位に多大な影響を及ぼす訳なのです。
そして、股関節と大きく関わる部位は、骨盤です。骨盤は直接、股関節とも直結しているため、股関節の柔軟性が低下し、硬い事が、骨盤の歪みの原因となります。
また、股関節は、太腿の骨の上端の骨頭が骨盤の窪みにはまり込んで、前後、左右、回したり自由自在に動かす事が出来て、関節の表面にある厚さ2〜4mmの関節軟骨が、股関節にかかる体重を吸収しながら、非常に滑らかに動かしていくのですね。
この様に、股関節は、体の仕組み上、骨盤と密接な関係があることがお分かりになったと思います。
骨盤の歪みは侮れない
下半身を支えている股関節と骨盤。長年の生活習慣、特に現代は、パソコンでの作業で座りっぱなしなどの生活スタイルなどにより、次第に股関節が硬くなり、骨盤が歪んできます。また、女性の場合は、出産後、どうしても骨盤が歪んでしまいます。
では、次に骨盤の役割について説明しましょう。
骨盤は、人体の上肢と下肢の中心に位置しておりますので、下部で身体を支え、上部で脊柱を通じて脳を支えています。そして、
- 臓器の受け皿としての役割
- 2足歩行を支える役割
- 座る時の身体全体の台座としての役割
が挙げられます。
特に女性の場合、前述しましたが、妊娠、出産時に骨盤の形が変わるので、とても重要な役割を骨盤は担っているわけです。まさに、身体の中心である事から、骨盤が歪むという事は、上記の役割に多大な影響を及ぼす事になります。
◉ 骨盤の歪みによる姿勢への影響
骨盤は、上肢と下肢を支えている要です。よって、骨盤が歪むと、骨盤の可動域が制限されて、骨盤周辺の筋肉が細く弱くなり、萎えてきます。硬くなり、筋力が低下していきますので、下半身が安定しにくくなります。場合によっては、加齢と共に、歩行能力低下にも繋がっていきます。
骨盤が歪んだ状態で、下半身の筋トレをしても、下半身自体が活性化されない為、筋肉は付きにくく、引き締まるどころか、より太るという状態になります。
また、骨盤は上肢も支えているわけですから、下半身が不安定になれば、当然、上半身も不安定になり、猫背になりやすく、背筋、胸筋も衰え、姿勢が悪くなるのですね。
◉ 骨盤の歪みによる内臓への影響
骨盤には、内臓の受け皿としてに役割があります。よって、骨盤の歪みによる内臓への影響は、非常に大きいのです。特に女性は、男性に比べ、骨盤が広い為、お尻の筋肉(大臀部・中臀部)が弱くなりやすく機能が低下しやすいのですね。
よく、インナーマッスルを鍛える事が、体幹をしっかりとしたものにし、いつまでも健康でいられるという事を耳にすると思います。インナーマッスルは、骨盤の前面にあり、骨盤を支える役割があり、内臓の位置を正しく保つ役割があるからなのです。よって、骨盤の歪みが原因で、筋力が低下してくると、内臓全体が、下がりやすくなります。
この様に内臓が下がった状態を、「内臓下垂」と言います。内臓下垂になるとどの様な状態になるかと言いますと、
- 内臓は、本来の位置でこそ、活発に働くので、下垂になる事で、内臓機能が低下する。
- 先ず最初に胃が下がり始め、胃や腸が冷たくなり、内臓全体が冷たくなる。
- 下腹部に位置する膀胱、子宮、卵巣なども、胃腸が下垂する事で、押しつぶされる様になり、同様に下垂し、冷たくなる。
- 内臓全体が冷たくなるので、体から熱が発生しにくく、体温が下がる。
- 内臓に近いウエスト周りは、脂肪が付きやすくなり、太りやすくなる。
- 自律神経の交感神経が過剰に活発になり、副交感神経の機能が低下する事で、消化機能も低下する。
- 基礎代謝が下がり、効率の悪い体になる。
- 場合によっては、尿漏れ、膀胱痛などの症状が出てくる事もある。
以上の事からも、骨盤の歪みによる体への影響は、内臓にまで及び、様々な病気を引き起こす原因にもなります。よって、単なる歪みとして放っておかずに、日頃のケアを大切に心掛けていきたいですね。
股関節を柔らかくする対策とは
では、日頃のケアとしてどの様な事に取り組んだら良いのかをこれから紹介していきましょう。
骨盤の歪みの原因の一つに、股関節が硬いことであると前述しましたね。ですので、先ずは、股関節を日頃から柔らかくするストレッチをする事がお勧めです。
◉ 股関節を柔らかくするストレッチについて
○ 開脚ストレッチ1
- 腰を床に向けて落とす
- 右膝を横方向に向けて曲げて、左脚を横方向に伸ばす
- 右足の踵は床につけ、左足の踵は、垂直に立てる
- 上から押して、股関節を広げていく
- 左足と右足を入れ替える
- 各足3セット
○ 開脚ストレッチ 2
- 腰を床に付ける
- 両膝を曲げて両足裏を合わせるようにくっつける
- 両足の踵は重ね合わせたまま、踵を自分側に引き寄せる
- 両膝を床に向けてゆっくり下げる
- 限界まで下げたら、30秒キープ
- ゆっくり元に戻し、繰り返す
- 2セット
○ 膝裏ストレッチ
股関節の柔軟性は、膝裏、アキレス腱の柔軟性とも関わりを持っております。膝裏を柔らかくする事で、股関節が柔らかくなっていきます。
- 床に横になる
- 左脚はそのまま、床に伸ばしたままで、右脚を垂直に上げる
- フェイスタオル位の長さのタオルを垂直に上げた右足の踵に置く
- その状態で、タオルを両手で体に近づける様に前方へ引っ張り、右脚を体にゆっくりと近づける
- この時、膝を曲げない様に、膝を伸ばしながら、近づけること。
- 限界まで近づけたら、そのまま10秒キープ
- 右足と左足を入れ替える
- 各足3セット
他にも股関節を柔らかくするストレッチはありますが、先ずはこの3種類をやってみましょう。ストレッチ慣れや運動慣れしていない方でもこの3つは、比較的、簡単に取り組めるものです。
ストレッチをするポイントとして
- 正しい姿勢をする、つまり背筋を伸ばすこと
- 鼻から吸って、口から吐く「鼻呼吸」をしながらする
- 呼吸はゆっくりとする
- 呼吸のポイントは、筋肉を伸ばす時に、息を吐くこと → 筋肉は、息を吐いた時に伸びる習性がある
- 無理はしないこと → 無理してやると返って筋肉を痛める
- お風呂上がりが体が温まっていて血行が良くなっているので、筋肉を伸ばしやすい
- 継続こそが大事 → 出来れば毎日取り組むこと → 筋トレとは違うので、毎日取り組んでも問題なし→ むしろ毎日取り組む方が効果が出る
まとめ
股関節、骨盤は体の中心にあります。中心にあるということは、上半身、下半身を支える、つまり体全体を支えていると言って差し支えないでしょう。今、特に問題がないからと言って放っておくべきではありません。骨盤は、日常の生活の中で、日々、少しずつずれてきております。日頃から、ケアすることで、末長く