一人でストレッチをする時に、壁を利用する方法があります。壁を利用した方が、しっかり体が伸びるのですね。股関節を柔らかくするトレーニングに於いても壁を使う事で、より柔軟性が期待出来ます。今回は、壁を利用した股関節トレーニングを中心に、それに付随するトレーニングも併せて、紹介しますね。
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股関節が硬い人 柔らかい人の体の仕組み
股関節が硬い、柔らかいなどは、元々の個人的な身体的な性質なものと、ストレッチなどで改善していくものなどがあります。筋肉は、体全体で複雑に絡み合っているので、股関節の部分を集中的にストレッチやトレーニングをしたとしても、股関節が柔らかくなるとは限りません。
股関節が硬い人の特徴として以下の事が挙げられます。
◉ ハムストリングが硬い
ハムストリングとは、大腿二頭筋と呼ばれている筋肉で、股関節の下に位置する筋肉の事です。膝を曲げたり、足を後方に突き出す為に使われております。ハムストリングが硬いと歩行がスムーズに行きにくいです。
仰向けに寝転んだ状態で膝を伸ばし、足が頭の方向に90度まで開かない状態であれば、ハムストリングは硬いと言えます。
◉ 腸腰筋が硬い
腸腰筋とは、大腰筋、小腰筋、腸骨筋の3つからなる筋肉の総称です。腰から足の付根にかけてあります。歩行や起き上がる時などに使われる筋肉です。よって、長時間、座ったままでいると、この腸腰筋が縮み、腰痛などの原因になります。
◉ 外施六筋が硬い
外施六筋とは、大臀筋と呼ばれる臀部にある筋肉の更に深部に存在する大腿方形筋、梨状筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋の六つの筋肉から構成される総称です。歩行時の方向転換や、股関節を安定させる動作に使われております。
うつ伏せの状態で、膝を曲げて、膝を床に着けたまま、足が45度以上開けば、外施六筋は柔らかいと言えます。
◉ 内転筋が硬い
内転筋とは、骨盤から膝の辺りまで位置する筋肉です。大内転筋、小内転筋、長内転筋、短内転筋から構成される筋肉群の事です。歩く、走るなどの基本動作から、多くの運動動作に関わります。
腰を床に降ろし、両足を開脚し、足裏を合わせ、膝を床に両手で押してみます。床に着かないのであれば、内転筋が硬い状態です。
以上が、股関節が硬い人の特徴であり、一方、股関節が柔らかい人は、上記の動作がスムースに出来る事が体の特徴と言えます。
しかし、筆者がこれまでダンスを指導してきた経験から、体の硬さは、体の元からの性質からだけではなく、その人自身の性格からの影響も左右していると言えます。つまり、体が硬い人は、頑固で、頭の堅い傾向にあります。指導をしていても、自分の思いが強すぎて、「先生は、私の事をああいう風に指摘するけど、私はちゃんとやってるし、そうではない。先生が間違ってる」みたいな人は、殆どが体が硬い傾向にありますね。
反対に体の柔かい人は、比較的、素直な人が多い傾向にあります。性格に柔軟性があるので、体にも反映していくのかもしれません。しかし、一概に、全ての人に当てはまるわけではありませんので、あくまでも参考までに読んでくださいね。
なぜ壁を利用すると良い?
ストレッチや筋トレなどのトレーニングは、内容によっては、一人で取り組むのが難しいものもあります。また、体を使う仕事の人ならともかくとして、通常は自分一人で取り組むと、力加減が甘くなり、「苦しいから、ここでやめてしまおう」など、甘やかしがちです。
ストレッチ、筋トレなどのトレーニングは、正しいやり方でもって効果が初めて出てくるものです。そのような点からも、壁を利用する事は、有効な方法になります。壁を利用する事で、
- 体重を安心して壁に掛けられる。
- 正しい姿勢を保持しやすい。
- 難しいストレッチも、壁を利用する事で取り組みやすい。
- 余計な力が入らないで済む。
- 自分の体重だけでコントロール出来る。
- 左右のバランスを取りやすい。
などのメリットがあるのですね。
筆者のレッスンの中で、ボディメイキングコースというストレッチをメインにしたレッスンがあります。このレッスンでは、壁をよく利用しております。生徒の様子を見ると、一人で取り組むよりも、明らかに壁を利用した方が、効果が的面です。体もしっかりと伸びてますし、開脚のストレッチについても、結構、開脚が出来ているのですね。
実際に、終わった後に、生徒に体への反響を聞きますが、しっかりと伸びると言っております。やはり、壁を利用する事で、体重が正しく掛けられ、正しい姿勢でストレッチをしているので、体にしっかりと効果が出てくるのですね。
場所も取らず、自宅でも手軽に出来るので、壁を利用してストレッチをする事はオススメですね。
股関節に関わる病気とは
股関節の痛みの原因は、股関節脱臼や、臼蓋形成不全といった障害によるもの、加齢や骨折によるものがあります。骨折以外の症状は、長い時間を掛けて、進行していくので、歩行に支障をきたす恐れがあります。
代表的な病気に、
- 変形性股関節症
- 大腿骨頭壊死症
- 関節リウマチ
- 白蓋形成不全
- 先天性股関節脱臼症
などが挙げられます。変形性股関節症については、股関節が浅い臼蓋形成不全が原因であることが多いですが、加齢に伴い軟骨が減ってしまう事が原因になる事があるのですね。上記のような股関節の病気は、股関節が硬い事が原因でなると言うよりも、先天性のものであったり、骨格の問題であったり、加齢に伴うものであったりします。
筆者自身も、左脚の付根が痛かったことがあり、整形外科に診てもらった事があります。その時の診断が、股関節が浅い臼蓋形成不全であるという事でした。体を使う仕事をしている筆者としては、大問題です。加齢と共に歩行に障害をもたらすとも言われたのですね。この場合、 先天性であるという事でした。余談ですが、筆者の妹も同じ症状であり、同じく股関節が浅い臼蓋形成不全です。遺伝らしいのですが、もし家族にその様な何かしらの不具合を持っている方がいたら、一度、整形外科などに診てもらうと良いかもしれませんね。
上記のような股関節の病気の場合は、股関節を柔らかくするだけでは、治りません。病院での治療が必要になってきます。しかし、筆者自身が先生に、筋トレをして筋肉を付け続けていく事、股関節に柔軟性を持たせる事が、唯一の治療方法であると言われた様に、股関節が硬いよりも柔らかい方、軽い症状でしたら、病気の改善にも繋がっていくのです。
壁を使った股関節トレーニング
それでは、実際に壁を使った股関節のトレーニングをしてみましょう。
◉ 壁と対面開脚トレーニング
このやり方は、今までやった事がある方も多いかもしれません。一般的に股関節を柔らかくする為の開脚トレーニングです。
- 壁と対面する。
- 壁に向けて開脚する。
- 爪先は壁に付ける。
- 出来る限り、股関節を壁に近づける。
但し、いきなり頑張りすぎて、一気に壁に近づけ過ぎないことです。急激にやると、かえって痛める可能性もあるので、日々のトレーニングの中で、徐々に開脚の角度を広げる様にしましょう。
◉ 壁に脚をつけて開脚トレーニング
こちらは、体を床に横になって行うトレーニングです。
- お尻を壁に付けて背中を床に付ける。
- 両脚を壁に沿って開脚する。
- 開脚したまま20秒キープする。
- 両脚を閉じて、内腿に力を入れて6秒キープする。
- また開脚をして、内腿を緩めて3秒キープする。
- 両手で、両膝に体重を乗せて5秒キープする。
- この動きを3セットする。
このストレッチは、筋力トレーニングも兼ねた開脚トレーニングになります。
◉ 壁を使った脚上げトレーニング
こちらは、直接、開脚にアプローチするというよりは、間接的に股関節にアプローチするトレーニングになります。
- 頭、肩、かかとを壁に付ける。
- 左脚を膝が直角になるまで上げる。
- その状態で、太腿の裏側を引き締めて、30秒キープする。
- 右脚も同様。
太腿の裏側の筋肉を強化する事で、股関節周りを安定させます。安定させる事で、安全な開脚へとアプローチしていきます。
その他にも股関節を柔らかくするストレッチについてまとめた記事がありますので、ご覧ください。
まとめ
股関節が柔らかい事で、血液の循環も良くなり、代謝も上がっていきます。代謝が上がるという事は、体重管理がしやすく、太りにくい、痩せやすい体質へと導いていきます。股関節が硬い事で直接、支障がない様に思われますが、長期的な視点で見ると、決して安心出来ません。スポーツジムに通わずとも、自宅の壁を使ったトレーニングがありますので、是非チャレンジしてみてくださいね。